パニック発作

  パニック発作

  パニック発作の症状

心臓がドキドキする
汗をかく
身体や手足の震え
呼吸が早くなる、息苦しい
息が詰まる
胸の痛みまたは不快感
吐き気、腹部のいやな感じ
めまい、頭が軽くなる、ふらつき
非現実感、自分が自分でない感じ
常軌を逸する、狂うという心配
死ぬのではないかと恐れる
しびれやうずき感
寒気または、ほてり

  上にあげた症状はいろいろな言葉で表現されます。

心悸亢進:「体全体がドキンドキンといっている」「心臓をギュ−と掴まれたようだ」「喉から心臓が飛び出しそうな感じ」
呼吸困難:「空気が薄い感じ」「息の吸い方はき方がわからない」「喉がえずく(ウッウッと息を出すこと)」「閉じこめられてしまった感じ」
めまい:「頭から血が抜けていく感じ」「頭の血管がプツンした感じ」「頭を後ろに引っ張られるよう」
腹部不快感:「胃をギュ−と掴まれて引っ張りあげられる」「おなかがフニュフニャして変な感じ」
非現実感:「雲の上を歩いている」「頭に霞がかかっている」「ベ−ルをかぶっている」「自分が自分でない感じ」「自分をもう一人の自分が外からみている」

 ここにあげた発作症状にともない常にある症状は激しい不安感です。この不安は、「どうしようも出来ない」「いても立ってもおられない」「身の置き所がない」「走り出したくなる」「大声で叫びたい」といったように表現されます。身体症状による二次的な不安もありますが、中心症状となる不安は、心の底からわき起こってくる不安そのものです。

  パニック発作の出現の仕方

 パニック発作はある一定の時間に限り激しい恐怖感や不安感とともに上にあげた症状が4つ以上ほぼ同時に突然出現し、10分以内にピ−クに達します。パニック発作はその激しさが最高潮に達した後は30分以内に症状が消え去ることが多いようです。しかし、一部の患者では半日以上も症状が持続することがあります。

 パニック発作が始めて起きてから次の発作が起きるまでの時間は様々です。多くの人では、1週間以内に第2回目の発作が起きます。そして、発作は起き始めると次々に連発する事が多いようです。パニック発作の頻度は、著者の患者140名の統計研究では、発症時には週に3〜7回の人が最も多く、診察時には日に1回以上という人が最多になります。

 パニック発作ではふつう4つ以上の症状が同時に出ます。著者の患者140名の統計では、発病時の発作症状数は6つであったという患者が最も多く、初診時には9つの発作症状を持つ人が最も多くなっています。中には症状数が1〜3だけの患者もいます。これは小発作といいます。小発作は、病気の程度の軽い人、不充分な治療を受けている人、激しい時期が過ぎた経過の長い患者でみられます。私のクリニックの最近の調査では、発作症状数が多い程重症で病気が長引く可能性が強いことがわかりました。

  パニック障害にみられるパニック発作の特徴

 パニック障害のパニック発作は誘因なく突然はじまるのが特徴です。過度の緊張のあまり上がってしまった状態とか、たいへん恐ろしい場面でパニック発作が出現することは納得できます。ところが、パニック障害のパニック発作はどうしてこんな所で発作が起こるのかと本人にも周囲の人にも全く理解できないのがこの病気の所以です。まさに青天の霹靂です。しかし、数は少ないですが、なかにはあるきまった一定の場所でしかパニック発作を起こさない人もいます。例えば、車を運転中だけとか、電車に乗ったときだけしか発作はおきません。しかし、このような人でも、自宅でくつろいでいる時に発作ほど激しくない症状で不意に気分が悪くなることがそれまでにあったということがしばしば聞かれます。

 パニック発作では様々な身体症状が出現しますが、発作症状を説明できる臨床検査所見がみつかりません。心電図、心エコ−検査、心臓カテ−テル検査、胸部X線検査、脳波、CT,MRI画像検査、胃腸の透視検査、血液−尿検査などすべての検査で異常は認められません。ただし、心電図検査でときに僧坊弁虚脱症の診断を受けることはあります。

  パニック発作の治療

 始めに述べましたようにパニック発作はイミプラミンという三環系抗うつ薬が効きます。この薬は効果を発揮するのに時間がかかり、口渇、便秘、眠気などの副作用が出易いので、最近はアルプラゾラム、ロラレパム、クロナゼパムといったベンゾジアゼピン系抗不安薬がまず用いられることが多くなっています。これらの薬物療法とともに、認知・行動療法も発作を減ずる効果が明らかに認められます。

  予期不安

 パニック発作がひとたび起こるとそれは生命の危機をひしひしと感じさせるものであるので、発作に対する恐怖感は計り知れないほど強い。それは不意に突然起こることが多いので、またいつあの恐ろしい発作が起こるのではないかと常に心の底に不安感を持ち続けます。不安は対象が明かではない恐怖であると言われていますが、パニック障害の予期不安の内容をもう少し具体的に突き詰めて行きますと次のような恐怖であると考えられます。

発作症状そのもの
発作により病気になるのではないかと恐れる
発作により死んでしまうのではないかと思う
発作により気を失ってしまうのではないかと思う
発作により気が狂ってしまうのではないかと思う
発作により事故を起こすかも知れないと思う
発作を起こしても助けてくれる人がいないことを心配する
発作を起こした場所からすぐさま逃げ出せないことを恐れる
発作により人前で自分が取り乱してしまうことを恐れる
発作により人前で倒れたり吐いたり失禁したりすることを恐れる
発作を起こしてた人に迷惑をかけるのではないかと心配する

 パニック障害では必ず予期不安があります。この予期不安のためにリラックスした気分になれず、行動は知らぬ間に防衛的になり、行動空間が狭められていきます。パニック障害のより現実化行動化した状態が広場恐怖です。

  予期不安の治療

 イミプラミンは予期不安に直接効くことはありません。但し、この薬で発作が消失することにより時間とともに予期不安は軽快して行きます。予期不安に直接高かがあるのは前述したベンゾジアゼピン系抗不安薬です。もちろん、認知・行動療法も予期不安を現弱する重要な治療手段です。

テーマ : パニック障害(PD) - ジャンル : 心と身体

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