脂質異常症(高脂血症)とは?
血液中のLDL(悪玉)コレステロール値や中性脂肪が高い、またはHDL(善玉)コレステロール値が低い状態を、脂質異常症(高脂血症)と言います。
食生活や運動不足、喫煙などの生活習慣と深い関わりがあります。
症状や予防のポイント。
症状。
脂質異常症(高脂血症)はそれ自体、自覚症状はありませんが、放置しておくと高血圧、動脈硬化、通風、糖尿病の原因となります。
さらに動脈硬化が進むことで、脳血管障害や心筋梗塞を引き起こしかねません。定期診断を受けて早期発見が重要となります。自覚症状がなくても根気よく治療が必要です。
予防のポイント
高コレステロールの場合は、動物性脂肪や卵を控え、野菜や海草類、果物、きのこを食べ、軽い有酸素運動を取り入れましょう。
中性脂肪が多い場合は、総摂取エネルギーが関係しますので、腹八分目の食事を心掛けましょう。
脂質異常症(高脂血症)に有効な栄養素。
グリニシン
グリニシンはコレステロール値や中性脂肪を下げる効果があると言われています。
EPA
魚の油に含まれているEPAは、コレステロール値を下げる働きがあります。
DHA
魚の油に含まれているDHAは、コレステロール値を下げる働きがあります。
リノレン酸
体内で一部EPAやDHAに変換され、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、悪玉のLDLコレステロールを減らすと言われています。
大豆サポニン
大コレステロールの吸収を抑制し分解する作用があり血管内に付着した脂質を除去したり、中性脂肪を減少させる作用があると言われています。
食物繊維
水溶性食物繊維に含まれる、ムチン・アルギニン・グルコマンナン・ペクチンなどは、コレステロール値の改善に有効とされています。水溶性植物繊維は、コレステロールが上がるのを抑制して脂質異常症の予防になります。
ビタミンC
ビタミンCは血液中のコレステロールを減らす働きがあります。
マグネシウム
中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼという酵素は、マグネシウムが不可欠ですので、マグネシウム不足は脂質異常症特に高中性脂肪血症の大きな原因のひとつと考えられます。
高脂血症とは、血液中の脂質成分が過剰になった状態をいいます。脂質のおもなものはコレステロールと中性脂肪です。コレステロールは悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールと善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールがあります。前者は、高値のときは血管壁に沈着して動脈硬化を促進しますので悪玉と呼ばれており、後者は逆に動脈硬化を抑制するはたらきをするので善玉コレステロールと呼ばれています。また中性脂肪は脂肪組織で蓄えられ、必要に応じてエネルギー源として利用されますが、過剰に蓄えられると肥満となります。

 | 原 因 |  |
高脂血症が起こる原因には2通りあります。1つは遺伝をもとに起こるものです。親、兄弟、姉妹にコレステロールや中性脂肪のどちらか、あるいは両方高い人がいることから家族性高脂血症と呼ばれています。もう1つは、高脂血症を起こしやすい病気にかかっていてそのために起こるもので、これを二次性高脂血症といいます。

 | 症 状 |  |
高脂血症は自覚症状がほとんどありません。そのため、沈黙の病気といわれています。しかし、コレステロールが非常に高い状態が長い間続くと、手足の関節に脂肪の塊ができてきます。黄色くこぶのように盛り上がってきますが、痛みは伴いません。これを黄色腫といいます。
特にできやすい場所は上眼瞼の内側や、ひじの外側、ひざなどです。またアキレス腱が厚くなり、足首が太くなってきます。
血液中に中性脂肪が極端にふえてくると、血清(血液の上澄み)が濁って牛乳のように白濁します。これを乳糜血清
[にゅうびけっせい]と呼びます。この場合急性膵炎を併発して急激な腹痛に襲われることがあります。


 | 診 断 |  |
高脂血症の診断は血液中のコレステロールや中性脂肪が正常値を超えて高いときにつけられます。一般に年齢が上がると高くなりますが、特に女性は閉経後にふえてきます。日本人の場合、血液1dl当たり、コレステロールは220mg以上、中性脂肪は150mg以上を高脂血症とし、HDLコレステロールは40mg以下を低HDL血症とします。

 | 治 療 |  |
高脂血症の治療は食事療法、運動療法、薬物療法に分けられます。
食事療法
高脂血症の治療はまず食事療法から始めます。適切な食事療法により血中脂質はある程度改善します。脂肪分は少なめに抑える必要はありますが、それだけではなく、摂取する総エネルギー量(1日に食べる量のこと)の制限や、アルコール制限も必要です。
コレステロールの高い人
コレステロールが高い人は、1日のコレステロール摂取量を300mg以下に抑えます。卵黄1個にコレステロールが約250mgも含まれていますから、卵を食べるとコレステロールがふえるタイプの人は卵を控えるようにしてください。また脂肪分も1日の総エネルギー量の30%以下に抑えます。そして脂肪分の内容は、飽和脂肪酸(S)を3分の1以下にして、多価不飽和脂肪酸(P)や1価の不飽和脂肪酸(M)のオリーブ油をできるだけ多くします。Sの多い食品の代表はバターやラードなどの動物性脂肪で、Pの多い食品はサラダ油や魚油です。魚油としてはイワシやサンマなどに含まれる高度不飽和脂肪酸が特におすすめ食品です。
食物繊維にもコレステロールを低下させる作用がありますから、海藻類やきのこ類などを食べるように心掛けてください。
中性脂肪の高い人
中性脂肪が高い人にもっとも注意してほしいのは、アルコールを控えることや甘いものを食べすぎないことです。中性脂肪が高いといわれると、脂肪分だけやめればよいと思いがちですが、アルコールや糖分のとり過ぎが血液中の中性脂肪をふやすもとになります。アルコールを控えたり、間食のおやつをやめるだけで中性脂肪の値が改善することが少なくありません。

運動療法
適度の運動はエネルギー代謝を活発にするので、中性脂肪を低下させ、善玉のHDLコレステロールを増加させます。毎日無理のない運動をおこない、体重の調整をはかることが大切です。
薬物療法
十分な食事療法と運動療法をおこなってもコレステロールや中性脂肪が下がらない場合には、薬物による治療が必要です。コレステロール低下薬ではHMG−CoA還元酵素阻害薬(スタチン製剤)がもっともよく使われます。また動脈硬化を起こすLDLの酸化を抑える作用をもつ抗酸化剤としてプロブコール製剤が使用されます。中性脂肪低下薬にはフィブラート系薬剤がもっとも有効ですが、魚油からつくられたエイコサペンタエン酸や、ニコチン酸製剤も使用されます。なお二次性高脂血症の場合には高脂血症の原因となっている基礎疾患の治療が優先されます。

 | 予防・予後 |  |
高脂血症をもつ人は動脈硬化を起こしやすいといわれています。動脈硬化を起こしやすい因子(これを危険因子といいます)には、高脂血症のほかに高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、高尿酸血症(痛風)などがあります。これらの危険因子を1つでも多くもつと動脈硬化を起こしやすく、特に心筋梗塞にかかりやすいことが知られています。したがって高脂血症がある場合には早めに治療して血中脂質を正常値まで下げておくことが大切です。高脂血症を早期に発見するには定期的な健康診断を受けることです。もしコレステロールや中性脂肪が高いといわれたら、まず食事療法と運動療法から始めてください。また長期にわたる定期的な通院が必要となります。
近年日本人の血清コレステロール値が上昇して、特に若年者にこの傾向が強いといわれています。これは動物性脂肪の摂取量が増加したことによると考えられます。高脂血症を予防するためには、過食や過度のアルコール摂取を控えてください。また適度の運動を実行し肥満を防ぐことが大切です。たばこは百害あっても一利なしです。健康的なライフスタイルを維持するように心掛けましょう。
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