不安や緊張に効く食べ物

イライラや精神不安にゆり根

 ゆり根の生薬名は百合(ひゃくごう)といいます。昔から中国に百合病という病気があり、ゆり根がその特効薬でした。ちょうど現代のノイローゼのような症状だったといいます。
 神経が弱かったり、気分がおちつかないとき、不眠のときにゆり根のハチミツ蒸しが効果的です。これを1日に2回食べます。特に、夜寝る前に食べると効果的です。



 

緊張、不安があるときににら

 強壮薬として利用され、また、胃腸の冷えや便秘などに効果があります。強いにおいのもとは、硫化アリルという物質で、自律神経を刺激する作用が明らかになっています。緊張したとき、のどがつかえたような感じになってしまう人には、安中五汁飲(あんちゅうごじゅういん)という民間薬が効きます。にら、しょうが、なし、れんこんからそれぞれ汁をとり、牛乳をまぜて作ります。

めまいや頭痛があるときにほうれん草

 和食では、おひたしやごまあえによく使われますが、炒めものや、生でサラダにしたり、洋風のメニューでも親しまれています。
 めまいや頭痛がおこりやすい人は、ほうれん草を常食すると効果があります。たくさん食べるためには、生食よりも加熱します。ゆでたものをさらにごま油で炒めたものが、よく効きます。
 また緑黄色野菜には、カルシウムも含まれるので、イライラ防止のためにも、つとめて食べるようにしましょう。

精神不安をやわらげるくるみ

 中国の書物では、疲れやすく元気がないときには、人の体に不足している陽気を補う「助陽薬(じょようやく)」というのがあり、この中にくるみを入れています。また、研究の結果、不眠やノイローゼにも効果があることがわかっています。
 くるみと黒ごま、桑の葉各30gをあわせて、ドロドロになるまでよくつきます。できあがったものを1日2回、1回に9gずつ飲むと効果的です。
 簡単な用い方としては、1日2個のくるみを毎日食べてもよいでしょう。

うつ病によるイライラにうど

 早春に発芽したものが、夏には2mにまで育ち、うす緑色の花が咲きます。食用にされるのは若芽と根茎の部分で、独特の香りと歯ざわりが好まれます。
 薬用には根茎(こんけい)の部分を用います。栽培種よりも、山地に自生する山うどのほうが、薬効が高いといわれています。
 精神を安らかにし、イライラを鎮めるには、生の茎か根のしぼり汁をとり、1日3回、1回に50mlを服用します。生のままきざんで食べてもよいでしょう。

憂うつ感、疲労感に効くイカリソウ

 初夏に採った葉茎を日干しにして、薬用に使います。生薬名は淫羊かく(いんようかく)といいます。おもな薬効は強壮効果ですが、うつ病で気分が落ちこんだときにはイカリソウの煎じ汁が効きます。
 乾燥したイカリソウの葉茎20gを1日分として、煎じて服用します。
 また、30gを900mlの焼酎に漬けて1週間おいた薬酒も効きめがあります。カスをとり除き、1日2回、さかずきに1杯飲みます。これは強壮薬としても

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恐怖症(恐怖症性不安障害、不安神経症)

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恐怖症(恐怖症性不安障害、不安神経症)

 状況や人、動物、病気など特定の対象を怖がるのが恐怖症です。怖いと感じる恐怖感は、頭では不合理だとわかっていても、自分でコントロールできません。あまりに不安が強いために「気が狂ってしまうのでは」という気分になることもあります。からだのほうでも、動悸・発汗・ふるえ・呼吸困難感・あちこちの痛みなどを伴います。
 しかし、症状が起こるのは特定の状況だけか、そのことについて考えるときだけで、あとはふつうに生活できます。恐れる対象から恐怖症は次のように分けられます。

 対人恐怖

 人前に出たり話したりするときに、赤面する、からだや手がふるえる、自分の体臭・表情・視線などが気になるなどといった症状があらわれます。

 広場恐怖

 雑踏、慣れない場所、自宅から遠く離れたところなどで恐怖感があらわれます。パニック発作(身体症状を伴う突然の強い不安)が同時に起こることが多く、発作をくり返すうちに、そのような場所に出かけることを極度に恐れ、回避するようになります。

 閉所恐怖・高所恐怖など

 広場恐怖と同じような症状が、エレベーター・乗り物・トンネル・高層ビルなど特定の場所で起こるものです。
 その他特定の動物を怖がる動物恐怖、がん・エイズなどを怖がる疾病恐怖、雷恐怖・暗闇恐怖など多くの種類があります。

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神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害

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神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害

 これらの障害は、かつて神経症と呼ばれていたものです。神経症とは、1.からだの組織に異常はない(器質的異常はない)、2.しかし、身体面や精神面の症状がある、3.心理的な原因や性格的な原因があるということが特徴です。
 ドイツ語ではノイローゼと呼ばれていました。ノイローゼということばは私たちにもずいぶんと知られていて、いろいろな意味で使用されてきましたが、本来は神経症のことです。
 最近、精神疾患がこまかく分類される傾向にあり、かつての神経症も、神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害に分かれました。ここでは、個々に分類された病気の症状を記し、治療については最後にまとめます。
 神経症の特徴の第1は、器質的な異常がないということです。「心臓がドキドキする、死にそうで不安でしかたがない」と症状を強く自覚しても、心電図ではまったく異常が出ないといったようにです。本人は、現実的には強く症状を自覚しますので、絶対にからだがわるいに違いないと思い込むのも無理はありません。
 しかし、からだに異常がないといっても、脳の中ではなんらかの問題がありそうだということが最近わかってきました。神経症は心理的な病気だという理解から脳の神経のはたらきと関係しているかもしれないという理解へ進みつつあります。
 第2の特徴は、身体面、精神面での自覚症状が強いことです。身体面での自覚が強いので、症状に応じていろいろな診療科を受診する傾向があります。たとえば、めまいを感じるので耳鼻咽喉科に行くといった類です。また精神面での症状、特に不安が強く耐えきれないという自覚をもつので、自分は精神病ではないかといった不安がつきまとうことも多いのです。
 第3の特徴は、発病には心理的な出来事とある種の性格的な傾向とがかかわっていることです。からだの変化に敏感な人が、親しい身内の重病や死亡に際して、自分も同じ病気になるのではといった不安から似たような症状を強く自覚してしまう、といったようなことです。なにもないのに病気がわるくなったというようなことはありません。
 神経症のなかでもっとも重要な症状は不安です。不安は、人が困難な状況や先行き不明な状況におちいったときに体験する、ごく一般的な精神状態の変化です。不安は必ずしも有害なものではありません。不安があるから、人は困難に対処し進歩してきたといえ、われわれの生活にとってはなくてはならないものです。
 しかし、不安が高まりすぎると、いろいろな神経症にかかりやすい状態になるともいえ、いわば諸刃の剣のようなものなのです。このような点で、神経症はいかにも人間らしい病気といえます。

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こころの病気とは

こころの病気とは

 人間のこころ、すなわち精神にはさまざまなはたらきがあります。思考・感情・意欲などです。ふだん私たちは意識しませんが、これら個々の要素は、うまく連携をとってはたらいています。
 たとえば、朝ご飯を食べてさあ出勤というときには、「今日は A さんに会って交渉をまとめる仕事がある、うまくいくか心配だ」と思考しながら、感情的にはすこし不安になり、しかしがんばってやろうと意欲が出てくるといったふうです。
 これらの調和がくずれかけた、あるいはくずれた状態がこころの病気といえます。

 精神のはたらきの故障

 こころの病気になると、精神のはたらきのどこかに故障が出てきます。1つのはたらきの故障はほかのはたらきにも影響を与えることがあります。
 一例として強迫症状という状態を考えてみましょう。これは、「外出するときいつも戸締まりが気になる、何回見直しても安心できない」といったように、1つのことが気になる状態を指します。この場合、同じことを何度も考え、自分ではコントロールできません(思考のレベルの異常)。同時に、考えをうち消して無理にも確認をしないでいると不安でいたたまれなくなります(感情のレベルの異常)。症状が進むと、見直し行動の時間が長くなり、日常生活への意欲がなくなってきます(意欲のレベルの異常)。
 このように、こころの病気では、通常いろいろなレベルで障害が起こってくるのです。本来精神のはたらきは有機的につながっているからです。

 当人の悩みと周囲の認識

 こころの病気では、本人が1人で悩んでいることがしばしばあります。病気の症状が行動面に出てくるまでには、長い時間がかかっていることが多く、その間、本人はだれにも相談しないことが多いのです。
 「精神のはたらきの故障」で述べた強迫症状の例でいえば、こんなつまらないことが気になってばかばかしい、しかし無理にやめようとすると不安になってしまう、自分をコントロールできずだめな人間だ、などといった内容です。そのように悩むのは、症状のいっぽうで健康な自分がいるからです。健康な自分が病気の症状について考え、感じるから悩むのです。これは、ちょうど胃潰瘍の患者で胃が痛いと感じるのと同じことです。
 しかし精神のはたらきが強く障害されると、自分は病気ではないと考え、周囲にも自分は病気ではないと伝えるようになることもあります。しかしそうなっても、悩んでいる自分がなくなるわけではありません。そのような健康な自我を強くしていくのが治療上大切なことです。
 こころの調和がくずれかけても、必ずしも周囲がそれと気がつくわけではありません。本人が1人で悩んでいる状態であれば、からだがわるいわけではないので周囲の人は気がつきにくいのです。しかし、それが行動面の変化につながると、とたんに周囲が気づきます。
 さきの強迫症状の例でいえば、本人が気にするだけであったり、見直しの行動が1回や2回であれば、特に異常とは思われません。ちょっと神経質かなくらいで終わってしまいます。しかし4回も5回も見直したり、そのために学校や会社に遅刻したり、日常必要な行動がとれなかったりすると、だれもが問題視します。
 このように、行動面の異常が出てはじめて周囲が病気と認識することが多いのです。

 からだの病気とこころの問題

 どのような身体の疾患でも、こころへの影響は避けられません。ちょっとしたかぜをひいても、もう治らないかもしれないと不安になることがあります。
 ましてや、がんなどの病気になると、精神機能にかなりの影響が出てくるのがふつうです。場合によっては専門的な治療が必要になることもあります。
 また「病は気から」というように、からだの症状は精神的な影響を受けて出ることがあります。現在内科などで診察を受けている人の多くで、検査をしても特別異常が見つからないことがあるといいます。いかにこころの状態が関与しているかがわかります。

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気分障害(躁うつ病)

気分障害(躁うつ病)


 この病気は、かつて躁うつ病と呼ばれていました。気分がうつと躁の間を循環しやすいことからつけられた名称です。躁うつ病は三大精神病の1つとして理解され、また内因性精神病として統合失調症(精神分裂病)と並び称されていました。ところが、精神機能全般が障害されるというよりも、おもに感情や気分が障害されるのであり、精神病とするにはあたらないという議論が出てきました。それにしたがって、名称も変わり、アメリカでは感情病、国際分類では気分障害となりました。
 実際、軽い気分障害の場合は医療の手にかかることがなかったり、一般診療科で治療を受けることが多いこともわかってきました。それとともに気分障害の1つであるうつ病に対する一般の理解も進み、多くの人が気軽に治療を受けるようになってきました。このように軽症なものもありますが、なかには精神病と呼べる重症な場合もあり、気分障害は広い概念で理解される必要があります。
 精神機能のなかで感情が、独特なしかたで障害される病気です。統合失調症(精神分裂病)と同様に、神経シナプスにおける伝達の異常が症状と関係すると考えられています。気分障害には、うつだけをくり返す単極型うつ病(アメリカでは大うつ病。わが国では単にうつ病と呼ばれることが多い)と、うつ病と躁病の両方が出てくる双極型気分障害(同じく双極性障害)があり、前者は後者の3〜4倍多くみられます。発病は10代以降で、20代と中年期の2つの山があります。
 罹病危険率(一生の間に発病する確率)は、うつ病(単極型うつ病)の場合女性で約20%、男性でその半分程度です。双極型気分障害の場合は一桁少ない数値です。受診科は精神科のみではありません。総合病院内科の6%程度が気分障害をもった患者という報告もあります。アメリカでは、よく出会う10の疾患の1つに数えられているくらいです。

→高齢者の病気>老年期うつ病



原 因

 病気になりやすい素因と環境がからみあって発病すると考えられています。
 素因には遺伝的な要因も関係しています。単極型うつ病の場合、家族内の発生の割合は統合失調症(精神分裂病)とほぼ同様で、第一度親族の発病率は10〜20%程度です。双極型気分障害では、これよりもやや高い発病率です。いずれにしても遺伝病ではありません。
 脳の中の神経伝達機構に問題があると考えられています。セロトニンやノルアドレナリンなどモノアミン系の神経伝達物質のはたらきの低下が考えられています。
 環境面では、病気になりやすい性格をもっている人がストレスにであって発病すると考えられます。その性格は、几帳面、責任感が強い、徹底性、良心的などが特徴です。執着気質といいます。
 ストレスとしては、男性の場合は職場に関すること(昇進、転勤など)、女性の場合は家庭や家族に関すること(引っ越し、子どもとの別離など)が多いようです。張り切って生活したり、喪失の体験をしたりといったことが発病につながる傾向があります。

症 状

 うつ症状


感情面の症状
 さびしい、落ち込む、絶望的だ、なんの希望もない、本来楽しいはずなのにそんな気分になれない、などいろいろな感じかたがあります。これらの感情が一時的なものではなく、長期間(少なくとも2週間以上)続くのが特徴です。
 時に将来への希望がなくなり自殺の考えが浮かんだり実行に移したりすることがあります。うつ病は自殺の危険が高い病気です。

思考面の症状
 考えが進まない、集中できない、決断力が落ちた、頭がぼけてしまったなどと感じます(思考抑制といいます)。頭のなかが赤信号だらけになったという表現をしたケースがありましたが、まさにそのような感じになります。自分はだめな人間だ、なにをやってもだめだ、と感じたり、後悔や取り越し苦労にさいなまれるようになったりします。
 さらに、自分はわるいことをしたので罰を受けなければならないと信じ込んだり(罪業妄想)、将来貧乏になるに違いないと信じ込んだりする(貧困妄想)という特徴があります。

行動面の症状 
 元気がない、なにもやる気がしない、家事ができない、仕事ができない、趣味への関心もなくなった、などという状態になります(活動性の低下といいます)。また話のテンポが遅く、声も低くて小さくなります。

身体面の症状
 睡眠が障害され、早朝覚醒、中途覚醒、熟眠感のなさを経験します。食欲も低下し体重の減少もしばしばです。いっぽうこれらとは逆に、昼間も眠気が強くて寝すぎたり、食欲がありすぎたりすることもあります。このような症状は、日照時間が短い冬期にうつ病をくり返す季節性うつ病で特に顕著にみられます。
 体調がわるく、頭痛、肩こり、胸部や腹部の不快感などもよくみられます。またすこしの運動で疲労を感じて、すぐに休みたくなったりします。一般に性欲も低下します。

 躁症状


感情面の症状
 快活だ、壮快な感じだ、元気だ、気持ちは晴れわたっている、なんの問題もない、といった気分が基調です。不快な感じはなく、健康感に満ちていると感じるのですが、なかにはいらいらする、むしゃくしゃするといった不快感を自覚することもあります(高揚気分といいます)。
 周囲からは怒りっぽいと見えることもあります。このような感情が一時的なものではなく、長期間(少なくとも2週間以上)続くのが特徴です。

思考面の症状
 頭のめぐりがよい、いい考えが次々と出てくる、すぐに決断できる、といった自覚があります。また自分は偉い人間だ、なんでもできる、自分に反対するのはばかな人間だと思うようにもなります。さらに、自分は神様だ、英雄だ、といった誇大妄想をもつこともあります。

行動面の症状
 行動的になり抑制が欠如します。買い物や投資をしたり、賭け事や遊興に走ったりします。その結果、多額の浪費をしたり借金をしたりしますが、あまり悩まず、すぐに取り返せるという気分でいることが通常です。
 飲酒が激しくなる、飲酒運転をしても気にしない、といった気分が大きくなる状態になりがちです。
 話のテンポが速くなり、声が大きく高くなります。話が脱線しがちにもなります(活動性の亢進といいます)。自覚的にはスピード感があって、他人の行動や会話が遅くてしかたがないと感じがちです。

身体面の症状
 本人の自覚はあまりないのですが、睡眠時間が短くなったり、食欲や性欲が亢進します。体重は減少するのが通常ですが、これは活動が非常に亢進するためです。
 

経 過

 病気が出現する時期を病相といいます。期間としては、うつ病で3〜6カ月程度、躁病で1〜4カ月程度です。この間は治療により病状は軽くできますが、病相の途中で治療を中止すると再発する傾向があります。また病相が非常に長く続く場合があります。その場合は難治性の気分障害と呼ばれ、全体の10〜20%程度あると見積もられています。
 うつ病、躁病ともに再発しやすく、その防止が重要です。再発率は単極型うつ病で50%、双極型気分障害で70%という数字もあります。実際にどれくらい再発するのかはよくわかっておらず、生涯に1回の病気で終わってしまう人もけっこう多いだろうとも思われています。
 病相が頻回にくり返し、1年の間に4回以上みられる場合があります。このような場合はラピッドサイクラーと呼ばれます。

治 療

 一般的事項


 治療の目標は、第1に病相からの回復で、第2に再発の予防です。症状が軽い場合は薬物療法のみでよいのですが、症状がある程度強かったり、再発がみられたりした場合には薬物療法に加えて心理社会的な治療を加味することが必要になります。
 また、うつ病の場合は自殺の防止、躁病の場合は社会的な逸脱行動の防止が重要で、入院の適否も含めて治療の形態を考慮することが重要になります。
 気分障害は脳内の神経伝達物質のはたらきが障害されている疾患です。そのことがまず病人当人や家族に理解されることが第1に重要です。特にうつ病はしばしば病気と認識されず、「気持ちが怠けているから」とか「性格がわるいから」といった点に問題が帰着されてしまいがちです。そのために、家族や周囲の人は「がんばって」とか「気をしっかりもって」と励まし、本人の気持ちを追い込んでしまうことがしばしばあります。病気は気持ちの問題からきているのではないという認識をもつところから治療はスタートします。
 この点がクリアできれば、休養と服薬の必要性が理解できるようになります。病状に応じて休んだり仕事を軽くしたりといった点に考慮が払われる必要が出てきます。
 また症状が服薬によって緩和されることへの理解も大切です。その際、薬の効いてくるタイミングや副作用についての理解が欠かせません。
 以上のような一般的な理解のうえに以下に述べるような治療がはじめて成立します。

 抗うつ薬による薬物療法


種類と効果
 抗うつ薬には、三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・選択的セロトニン再取り込み阻害薬などがあります。いずれも、うつ病の症状の抑うつ気分や活動性低下を改善し、不眠・食欲低下などの身体症状にも効果があります。
 これらの薬は脳内のシナプス間隙に作用し、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の再取り込みを阻止して間隙におけるこれらの物質の濃度を高めて神経伝達の効率を上げるように作用します。
 効果は、早い場合は数日、遅くて数週間であらわれます。1〜2カ月服用しても十分な効果が得られない場合は、ほかの抗うつ薬に変更したり、抗不安薬・気分調整薬・抗精神病薬を付加したりします。
 使用期間のめやすは、改善がみられてから1〜2カ月間は同じ量で維持し、以後すこしずつ減量します。抗うつ薬には、以上の病相期の治療とともに、うつ状態の再発を防止する効果もあり、場合によっては、長期にわたって抗うつ薬を使用することもあります。

副作用とその対策
 眠かったりだるかったりする、口がかわく、便秘がちになる、尿が出にくい、目がかすむ、立ちくらみがするといった神経系の副作用が出ることがあります。また心伝導系への影響がみられたり、けいれんを誘発したりする場合もあります。副作用症状のなかには、しばらく服薬しているうちに慣れてしまうような場合もあります。
 対策としては薬の量を減らす、他薬に変更する、対症療法的に薬物を追加するといったことがあります。症状の軽重にかかわらず医師に報告することが大切です。

 気分調整薬による薬物療法


種類と効果
 炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンなどがあります。これらは、躁病相の症状である高揚気分や活動性の亢進を抑えます。抑えるといっても急激な鎮静効果ではないので、自覚的には自然におさまってきたという感じで改善します。
 効果は数日から数週間であらわれます。十分な効果が得られない場合は、ほかの気分調整薬への変更、抗精神病薬の追加などが試みられます。
 使用期間は躁状態がおさまる数カ月をめやすとし、以後再発予防のために継続するかどうかを検討することになります。再発予防の場合は、使用期間は特に限定されません。
 気分調整薬は、血中の濃度を測定しながら使用します。濃度が有効な範囲にあれば効果が発揮されますが、それより低いと効果が薄く、また高いと中毒症状が出やすくなるためです。

副作用とその対策
 眠気、だるさ、からだのふらつき、手のふるえ、下痢などの症状がみられることがあります。また血中濃度が高くなりすぎると、けいれんや意識障害が起こることもあります。高齢者、肝障害、腎障害がある人などは注意が必要で、定期的な血液検査を受けることが必要です。

 認知療法


 これはうつ病の場合に有効な精神療法の一種です。
 うつ病になりやすい人は、元来独特の思い込みをもっている人がけっこういます。たとえば、「仕事でミスがあってはいけない」「自分のことは他人はわかってくれない」「ミスをすると人からきらわれてしまう」などといったことで、こころの法則(スキーマ)と呼ばれます。
 うつの状態になると、スキーマを基盤として悲観的な思考が生まれますが、そのような思考が悲観的な気分を生み、悲観的気分が悲観的思考を生み出すという悪循環を生じます。たとえば、「元気がなくなって家族が疎遠になった」という思考が抑うつ気分を生み出し、それがさらに「自分なんかどうなってもいいんだ、生きていてもしかたがない」といった思考につながるといった具合です。
 認知療法では、コントロールできない抑うつ気分には手をつけず、制御可能な悲観的思考を対象にします。そのような思考が出てきたときに、それとは違う考えがないかと発想するよう励まします。たとえば「みんなが疎遠に見えるのは、自分をそっとしておいてくれるのだ」といったようにです。そしてそのような対立する考えが出てきたときに、気分がどのように改善するかを評価します。そのような手続きを通して、しだいに気分の改善をはかり思考様式を変えていこうというのです。
 このような治療は、うつ病相のまっ最中にはなかなか進展しにくいのですが、回復期や回復後には効果を発揮し、行動パターンを変えたり再発予防につながるのです。

 電撃けいれん療法


 電気ショック療法とも呼ばれます。100ボルトの電流を数秒間頭部に通電し、人工的にけいれんを起こさせて症状を回復させる治療法です。最近は安全性のために、麻酔科医の管理のもとに筋弛緩薬を使った無けいれん療法が普及しつつあります。
 うつ病、躁病両方に効果的です。適応は、薬物療法が無効であったり、副作用により薬が使用できなかったり、自殺のおそれが強かったり、早急な改善を本人や家族が希望する場合などです。通常5回程度の施行で効果がみられます。

 高照度光照射療法


 季節性うつ病の場合に適応されます。3000ルクスの光を、1日2時間程度照射します。
 通常は早朝に施行します。数日〜数週で効果がみられますが、照射をやめると症状がぶり返すので、病相が終了するまで続ける必要があります。

 断眠療法


 難治性のうつ病に適応されます。入院治療でおこなわれ、徹夜ないしはそれに近い状態を数日間続けることで症状の改善をはかります。回復は比較的早期にあらわれます。

 自殺の予防


 うつ病は自殺のおそれが強い病気で、その予防が治療上重要です。自殺が多い時期があって、1つは病気になりはじめの時期、2つ目は回復の時期です。抑うつ気分のもっとも強い時期は活動力も非常に低下するので、自殺をする元気もない状態なのです。
 自殺の予防には、まず危険性がどのくらい強いかを予測する必要があります。といってもその程度をはかる尺度はないので、本人のうったえの深刻さ、過去に未遂があったかどうか、家族のなかに自殺者や未遂者があったかどうか、生活の孤独さなどをもとに総合判断します。おそれが強いときは、積極的に話題として取り上げ本人と話し合うこと、まわりは真剣に心配していると伝えること、自殺をしない約束をすること、家族が目を離さないこと、入院を積極的にすすめることなどが重要です。また薬・農薬・刃物などの自殺手段から遠ざけることも大切です。

 入院治療の利用


 気分障害は通院治療で軽快させることができる病気ですが、なかには入院治療を要する場合もあります。それらを列挙すると、自殺のおそれがある、家庭ではゆっくりと休養をとれない、家族が病人を励まして追い込んでしまう、躁病相にあって社会的な逸脱行動が制御できない、薬物療法の管理を厳重にする必要がある(高齢者の場合など)、などです。

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あがり症解消のポイント 1

あがり解消のポイント

日本人はやっぱりプレッシャーに弱かった!?
 そんな日本人の緊張に弱い体質を裏づけるのが「セロトニン・トランスポータ遺伝子」の型。脳内物質のセロトニンが少なくなると気分が落ち込んだり、うつになったりすることはよく知られていますが、これを運ぶたんぱく質(トランスポータ)には3つのタイプがあり、その型によってプレッシャーに対する「ビクビク度」が変わってくるというのです。
 それによれば、日本人に多いのは、最も心配性でセロトニン量が少ないs/sというタイプ。ちなみにラテン系は、やはりセロトニンたっぷりの図太いタイプが多いのだそう。

腹式呼吸:不安な気持ちを全部吐き出してしまおう

 心拍数は呼吸によって変化します。深くゆったりした呼吸をすれば、心臓のドキドキを緩め、気持ちを落ち着かせることが可能です。おすすめは腹式呼吸。やり方は、まず口からゆっくり息を吐き、吐きながらおなかを引っ込める。吐き切ったら、今度はおなかをふくらませながら鼻から息を吸う―――これだけでOK。不安な気持ちを全部吐き出すようなつもりで、できるだけ長く息を吐くのがコツです。

筋肉弛緩法:体の力が抜ければ頭の緊張も遠ざかる

 体からアプローチして、頭の中の緊張をほぐす方法のひとつです。体がリラックスしていることを頭が感じることができれば、緊張は遠ざかっていきます。それには、とにかく筋肉の力を抜くことが大切。いったん力を思いっきり込め、その後にストンと抜くような運動やストレッチを繰り返してみましょう。このように力の差を大きくすることで、頭が力が抜けたことを感じやすくなります。

イメージトレーニング:イメージを植えつけ脳を“だます”

 プロスポーツ選手なども行っているイメージトレーニング。これは、自分が成功したイメージや楽しいイメージを徹底的に刷り込むことによって、脳をだます方法です。ふだんの練習のときのいいイメージを強く植えつけておけば、本番のときも、脳は「いつもと同じだな」と感じてくれ、緊張せずに平常心で臨めるというわけ。もちろん、スピーチなどにも応用できます。

あがり症・緊張対策

【不安解消のために・・・】アシストB
心臓がどきどきする、汗をかく、体がふるえる、息が詰まる、胸が痛む、吐き気がするなど、こうした心身の不調の解消に役立つ植物由来の有用成分や栄養素がバランスよく配合された加工食品で健康をサポート!
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不安・パニック・ストレスを遠ざける!感情のアンバランスを正常に戻す作用、日常のストレスにさらされて疲れた心を手当てする作用、恐れや不安に支配された心の緊張をほぐす作用などをもつホメオパシーハーブが、沈んだ気持ちを前向きにし、ゆったりと落ちついた気分に導いてくれます。
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身体の耐久力を増加させ、うつ病からの回復を助け、慢性的な不安感の解消に役立つサプリメント。
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さようなら!「あがり症」―10人から100人の前でラクに話せる
「あがり症」は、たった二つのことを実践するだけで誰でも必ず克服できます。自分の「思考」を変えることと、事前に「準備」すること。本書では、その具体的な方法についてすべて書きました。会社の朝礼や面接など、「10人程度の前で話す」ケースから、結婚式のスピーチや講演など、「100人規模の前で話す」ケースまであがらずに話すためのノウハウ
緊張・ドキドキ・あがり症は簡単に治せる
人前でスピーチをするとき、お偉方たちが居並ぶ会議室で重要な発表をするとき、恋する相手にイザ結婚の申し込みをするときなどなど。。。
うつ病を体験した精神科医の処方せん
「生きていてよかった」と思える本です。うつ病は「心の肺炎」。つらいけど、絶望することはありません。適切な治療や生活改善で必ず回復します。
アガリ症を7日間で克服する本―本番に強い人になろう
「ドキドキ・ビクビク」とオサラバし、ここぞというときに実力を発揮できる本番の達人になろう! 自分でアガリ症を克服し、企業研修の講師を務めるまでになった著者が説くアガリ克服のための7日間集中講義。ノウハウ満載。
「あがり症」を技術と習慣で克服する!
『アガリ』を感じる人に慣れろと言うのもナカナカ苦難の道のりである。
この書籍は、そのような『アガリ』を感じる人にどのようなステップで慣れていくことが 『アガリ』克服に繋がるのかを示している。
いろいろな方法が記載されており、すべてを試しながら 人前に立つことにより、確実に『アガリ』を克服できるのでは無いか。 と思わせる内容になっている。
『アガリ』を感じる人には一見の価値あり。

どもり・赤面・あがり症 1000人を救った「腹圧呼吸法」
どもりの原因は心ではなく体にある! 吃音を克服するためのメソッド「須郷式腹圧呼吸法」を紹介。従来の吃音矯正術とはまったく違う、生体工学の視点から独自に開発した方法で、「一生治らない」とされるどもりを克服しよう!
他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学
今まで自分の精神的な症例(軽重に関わらず)に合う本がない方にはもしかすると切り口となってくれる可能性があります。
回避性人格や社会不安・社会恐怖といった今まで表現できなかった感覚を表現してくれる言葉には嬉しくもあり、同時に精神的な弱さという考え方では解決に至らない糸口が垣間見える気がしてきます。
治療や回復は自覚することから、と言いますが そういった意味では自覚を進めてくれる内容と言えます。
どもりは治る―赤面・あがり症には原因があった
半年間の「須郷式隔膜バンド」効果で、腹式呼吸を体得。どもり、赤面症、あがり症は大きく改善され、必ず治ります
勝つためのコグニティブトレーニング7つのステップ―“あせり、不安、緊張”が解消される新メンタルメソッド
「認知(コグニティブ)ドリル」でスポーツの本番に克つ! さまざまな分野で効果を上げる「認知療法」をスポーツに応用。試合中の自己コントロールを可能にするノウハウを7つのステップで紹介。

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気分障害(躁うつ病)

気分障害(躁うつ病)


 この病気は、かつて躁うつ病と呼ばれていました。気分がうつと躁の間を循環しやすいことからつけられた名称です。躁うつ病は三大精神病の1つとして理解され、また内因性精神病として統合失調症(精神分裂病)と並び称されていました。ところが、精神機能全般が障害されるというよりも、おもに感情や気分が障害されるのであり、精神病とするにはあたらないという議論が出てきました。それにしたがって、名称も変わり、アメリカでは感情病、国際分類では気分障害となりました。
 実際、軽い気分障害の場合は医療の手にかかることがなかったり、一般診療科で治療を受けることが多いこともわかってきました。それとともに気分障害の1つであるうつ病に対する一般の理解も進み、多くの人が気軽に治療を受けるようになってきました。このように軽症なものもありますが、なかには精神病と呼べる重症な場合もあり、気分障害は広い概念で理解される必要があります。
 精神機能のなかで感情が、独特なしかたで障害される病気です。統合失調症(精神分裂病)と同様に、神経シナプスにおける伝達の異常が症状と関係すると考えられています。気分障害には、うつだけをくり返す単極型うつ病(アメリカでは大うつ病。わが国では単にうつ病と呼ばれることが多い)と、うつ病と躁病の両方が出てくる双極型気分障害(同じく双極性障害)があり、前者は後者の3〜4倍多くみられます。発病は10代以降で、20代と中年期の2つの山があります。
 罹病危険率(一生の間に発病する確率)は、うつ病(単極型うつ病)の場合女性で約20%、男性でその半分程度です。双極型気分障害の場合は一桁少ない数値です。受診科は精神科のみではありません。総合病院内科の6%程度が気分障害をもった患者という報告もあります。アメリカでは、よく出会う10の疾患の1つに数えられているくらいです。

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原 因

 病気になりやすい素因と環境がからみあって発病すると考えられています。
 素因には遺伝的な要因も関係しています。単極型うつ病の場合、家族内の発生の割合は統合失調症(精神分裂病)とほぼ同様で、第一度親族の発病率は10〜20%程度です。双極型気分障害では、これよりもやや高い発病率です。いずれにしても遺伝病ではありません。
 脳の中の神経伝達機構に問題があると考えられています。セロトニンやノルアドレナリンなどモノアミン系の神経伝達物質のはたらきの低下が考えられています。
 環境面では、病気になりやすい性格をもっている人がストレスにであって発病すると考えられます。その性格は、几帳面、責任感が強い、徹底性、良心的などが特徴です。執着気質といいます。
 ストレスとしては、男性の場合は職場に関すること(昇進、転勤など)、女性の場合は家庭や家族に関すること(引っ越し、子どもとの別離など)が多いようです。張り切って生活したり、喪失の体験をしたりといったことが発病につながる傾向があります。

症 状

 うつ症状


感情面の症状
 さびしい、落ち込む、絶望的だ、なんの希望もない、本来楽しいはずなのにそんな気分になれない、などいろいろな感じかたがあります。これらの感情が一時的なものではなく、長期間(少なくとも2週間以上)続くのが特徴です。
 時に将来への希望がなくなり自殺の考えが浮かんだり実行に移したりすることがあります。うつ病は自殺の危険が高い病気です。

思考面の症状
 考えが進まない、集中できない、決断力が落ちた、頭がぼけてしまったなどと感じます(思考抑制といいます)。頭のなかが赤信号だらけになったという表現をしたケースがありましたが、まさにそのような感じになります。自分はだめな人間だ、なにをやってもだめだ、と感じたり、後悔や取り越し苦労にさいなまれるようになったりします。
 さらに、自分はわるいことをしたので罰を受けなければならないと信じ込んだり(罪業妄想)、将来貧乏になるに違いないと信じ込んだりする(貧困妄想)という特徴があります。

行動面の症状 
 元気がない、なにもやる気がしない、家事ができない、仕事ができない、趣味への関心もなくなった、などという状態になります(活動性の低下といいます)。また話のテンポが遅く、声も低くて小さくなります。

身体面の症状
 睡眠が障害され、早朝覚醒、中途覚醒、熟眠感のなさを経験します。食欲も低下し体重の減少もしばしばです。いっぽうこれらとは逆に、昼間も眠気が強くて寝すぎたり、食欲がありすぎたりすることもあります。このような症状は、日照時間が短い冬期にうつ病をくり返す季節性うつ病で特に顕著にみられます。
 体調がわるく、頭痛、肩こり、胸部や腹部の不快感などもよくみられます。またすこしの運動で疲労を感じて、すぐに休みたくなったりします。一般に性欲も低下します。

 躁症状


感情面の症状
 快活だ、壮快な感じだ、元気だ、気持ちは晴れわたっている、なんの問題もない、といった気分が基調です。不快な感じはなく、健康感に満ちていると感じるのですが、なかにはいらいらする、むしゃくしゃするといった不快感を自覚することもあります(高揚気分といいます)。
 周囲からは怒りっぽいと見えることもあります。このような感情が一時的なものではなく、長期間(少なくとも2週間以上)続くのが特徴です。

思考面の症状
 頭のめぐりがよい、いい考えが次々と出てくる、すぐに決断できる、といった自覚があります。また自分は偉い人間だ、なんでもできる、自分に反対するのはばかな人間だと思うようにもなります。さらに、自分は神様だ、英雄だ、といった誇大妄想をもつこともあります。

行動面の症状
 行動的になり抑制が欠如します。買い物や投資をしたり、賭け事や遊興に走ったりします。その結果、多額の浪費をしたり借金をしたりしますが、あまり悩まず、すぐに取り返せるという気分でいることが通常です。
 飲酒が激しくなる、飲酒運転をしても気にしない、といった気分が大きくなる状態になりがちです。
 話のテンポが速くなり、声が大きく高くなります。話が脱線しがちにもなります(活動性の亢進といいます)。自覚的にはスピード感があって、他人の行動や会話が遅くてしかたがないと感じがちです。

身体面の症状
 本人の自覚はあまりないのですが、睡眠時間が短くなったり、食欲や性欲が亢進します。体重は減少するのが通常ですが、これは活動が非常に亢進するためです。
 

経 過

 病気が出現する時期を病相といいます。期間としては、うつ病で3〜6カ月程度、躁病で1〜4カ月程度です。この間は治療により病状は軽くできますが、病相の途中で治療を中止すると再発する傾向があります。また病相が非常に長く続く場合があります。その場合は難治性の気分障害と呼ばれ、全体の10〜20%程度あると見積もられています。
 うつ病、躁病ともに再発しやすく、その防止が重要です。再発率は単極型うつ病で50%、双極型気分障害で70%という数字もあります。実際にどれくらい再発するのかはよくわかっておらず、生涯に1回の病気で終わってしまう人もけっこう多いだろうとも思われています。
 病相が頻回にくり返し、1年の間に4回以上みられる場合があります。このような場合はラピッドサイクラーと呼ばれます。

治 療

 一般的事項


 治療の目標は、第1に病相からの回復で、第2に再発の予防です。症状が軽い場合は薬物療法のみでよいのですが、症状がある程度強かったり、再発がみられたりした場合には薬物療法に加えて心理社会的な治療を加味することが必要になります。
 また、うつ病の場合は自殺の防止、躁病の場合は社会的な逸脱行動の防止が重要で、入院の適否も含めて治療の形態を考慮することが重要になります。
 気分障害は脳内の神経伝達物質のはたらきが障害されている疾患です。そのことがまず病人当人や家族に理解されることが第1に重要です。特にうつ病はしばしば病気と認識されず、「気持ちが怠けているから」とか「性格がわるいから」といった点に問題が帰着されてしまいがちです。そのために、家族や周囲の人は「がんばって」とか「気をしっかりもって」と励まし、本人の気持ちを追い込んでしまうことがしばしばあります。病気は気持ちの問題からきているのではないという認識をもつところから治療はスタートします。
 この点がクリアできれば、休養と服薬の必要性が理解できるようになります。病状に応じて休んだり仕事を軽くしたりといった点に考慮が払われる必要が出てきます。
 また症状が服薬によって緩和されることへの理解も大切です。その際、薬の効いてくるタイミングや副作用についての理解が欠かせません。
 以上のような一般的な理解のうえに以下に述べるような治療がはじめて成立します。

 抗うつ薬による薬物療法


種類と効果
 抗うつ薬には、三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・選択的セロトニン再取り込み阻害薬などがあります。いずれも、うつ病の症状の抑うつ気分や活動性低下を改善し、不眠・食欲低下などの身体症状にも効果があります。
 これらの薬は脳内のシナプス間隙に作用し、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の再取り込みを阻止して間隙におけるこれらの物質の濃度を高めて神経伝達の効率を上げるように作用します。
 効果は、早い場合は数日、遅くて数週間であらわれます。1〜2カ月服用しても十分な効果が得られない場合は、ほかの抗うつ薬に変更したり、抗不安薬・気分調整薬・抗精神病薬を付加したりします。
 使用期間のめやすは、改善がみられてから1〜2カ月間は同じ量で維持し、以後すこしずつ減量します。抗うつ薬には、以上の病相期の治療とともに、うつ状態の再発を防止する効果もあり、場合によっては、長期にわたって抗うつ薬を使用することもあります。

副作用とその対策
 眠かったりだるかったりする、口がかわく、便秘がちになる、尿が出にくい、目がかすむ、立ちくらみがするといった神経系の副作用が出ることがあります。また心伝導系への影響がみられたり、けいれんを誘発したりする場合もあります。副作用症状のなかには、しばらく服薬しているうちに慣れてしまうような場合もあります。
 対策としては薬の量を減らす、他薬に変更する、対症療法的に薬物を追加するといったことがあります。症状の軽重にかかわらず医師に報告することが大切です。

 気分調整薬による薬物療法


種類と効果
 炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンなどがあります。これらは、躁病相の症状である高揚気分や活動性の亢進を抑えます。抑えるといっても急激な鎮静効果ではないので、自覚的には自然におさまってきたという感じで改善します。
 効果は数日から数週間であらわれます。十分な効果が得られない場合は、ほかの気分調整薬への変更、抗精神病薬の追加などが試みられます。
 使用期間は躁状態がおさまる数カ月をめやすとし、以後再発予防のために継続するかどうかを検討することになります。再発予防の場合は、使用期間は特に限定されません。
 気分調整薬は、血中の濃度を測定しながら使用します。濃度が有効な範囲にあれば効果が発揮されますが、それより低いと効果が薄く、また高いと中毒症状が出やすくなるためです。

副作用とその対策
 眠気、だるさ、からだのふらつき、手のふるえ、下痢などの症状がみられることがあります。また血中濃度が高くなりすぎると、けいれんや意識障害が起こることもあります。高齢者、肝障害、腎障害がある人などは注意が必要で、定期的な血液検査を受けることが必要です。

 認知療法


 これはうつ病の場合に有効な精神療法の一種です。
 うつ病になりやすい人は、元来独特の思い込みをもっている人がけっこういます。たとえば、「仕事でミスがあってはいけない」「自分のことは他人はわかってくれない」「ミスをすると人からきらわれてしまう」などといったことで、こころの法則(スキーマ)と呼ばれます。
 うつの状態になると、スキーマを基盤として悲観的な思考が生まれますが、そのような思考が悲観的な気分を生み、悲観的気分が悲観的思考を生み出すという悪循環を生じます。たとえば、「元気がなくなって家族が疎遠になった」という思考が抑うつ気分を生み出し、それがさらに「自分なんかどうなってもいいんだ、生きていてもしかたがない」といった思考につながるといった具合です。
 認知療法では、コントロールできない抑うつ気分には手をつけず、制御可能な悲観的思考を対象にします。そのような思考が出てきたときに、それとは違う考えがないかと発想するよう励まします。たとえば「みんなが疎遠に見えるのは、自分をそっとしておいてくれるのだ」といったようにです。そしてそのような対立する考えが出てきたときに、気分がどのように改善するかを評価します。そのような手続きを通して、しだいに気分の改善をはかり思考様式を変えていこうというのです。
 このような治療は、うつ病相のまっ最中にはなかなか進展しにくいのですが、回復期や回復後には効果を発揮し、行動パターンを変えたり再発予防につながるのです。

 電撃けいれん療法


 電気ショック療法とも呼ばれます。100ボルトの電流を数秒間頭部に通電し、人工的にけいれんを起こさせて症状を回復させる治療法です。最近は安全性のために、麻酔科医の管理のもとに筋弛緩薬を使った無けいれん療法が普及しつつあります。
 うつ病、躁病両方に効果的です。適応は、薬物療法が無効であったり、副作用により薬が使用できなかったり、自殺のおそれが強かったり、早急な改善を本人や家族が希望する場合などです。通常5回程度の施行で効果がみられます。

 高照度光照射療法


 季節性うつ病の場合に適応されます。3000ルクスの光を、1日2時間程度照射します。
 通常は早朝に施行します。数日〜数週で効果がみられますが、照射をやめると症状がぶり返すので、病相が終了するまで続ける必要があります。

 断眠療法


 難治性のうつ病に適応されます。入院治療でおこなわれ、徹夜ないしはそれに近い状態を数日間続けることで症状の改善をはかります。回復は比較的早期にあらわれます。

 自殺の予防


 うつ病は自殺のおそれが強い病気で、その予防が治療上重要です。自殺が多い時期があって、1つは病気になりはじめの時期、2つ目は回復の時期です。抑うつ気分のもっとも強い時期は活動力も非常に低下するので、自殺をする元気もない状態なのです。
 自殺の予防には、まず危険性がどのくらい強いかを予測する必要があります。といってもその程度をはかる尺度はないので、本人のうったえの深刻さ、過去に未遂があったかどうか、家族のなかに自殺者や未遂者があったかどうか、生活の孤独さなどをもとに総合判断します。おそれが強いときは、積極的に話題として取り上げ本人と話し合うこと、まわりは真剣に心配していると伝えること、自殺をしない約束をすること、家族が目を離さないこと、入院を積極的にすすめることなどが重要です。また薬・農薬・刃物などの自殺手段から遠ざけることも大切です。

 入院治療の利用


 気分障害は通院治療で軽快させることができる病気ですが、なかには入院治療を要する場合もあります。それらを列挙すると、自殺のおそれがある、家庭ではゆっくりと休養をとれない、家族が病人を励まして追い込んでしまう、躁病相にあって社会的な逸脱行動が制御できない、薬物療法の管理を厳重にする必要がある(高齢者の場合など)、などです。

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心身症 原因と治療

心身症

 どんな病気でも、こころとからだの両方に影響が出ます。精神疾患では食欲や睡眠といった身体面への影響がまず避けられませんし、逆に身体疾患にかかった場合でも、治るかどうかといった心配や、もう治らないかもしれないといった不安が大なり小なり伴います。
 ところが、身体疾患のなかには、その人の性格や環境が発病や経過に強い影響を与えるものがあります。たとえば十二指腸潰瘍はストレスの影響を受けて再発しやすかったり、心筋梗塞はタイプAと呼ばれる性格(競争心や成功への願望が強く、精力的でせっかちな性格)の人がなりやすいといった類です。
 このように、身体疾患でありながら、その診断や治療に心理的要因を考えなくてはいけない病態を心身症と呼んでいます。いわば精神疾患と身体疾患の中間にあるもので、独立した疾患ではありません。

原 因

 心身症の原因として性格的な面がいわれています。人はストレスに遭うと、自律神経系のはたらきに影響が出ます。ストレスには、一時的なものと持続的なものの両方がありますが、どちらの場合も神経系のはたらきを介して内分泌・循環器・消化器などに影響が出ます。そのような場合、通常はストレスをうまく処理して臓器に障害が出ないように適応できています。
 その処理の1つが感情の発散ですが、心身症になりやすい人は、そのような感情面の処理がへたな人が多いのです。このような性格は失感情症(アレキシチミア)と呼ばれています。また心身症になりやすい人は、周囲に合わせてしまう傾向があります。時に適応しすぎのようにみえることもあります。つまり、持続的にストレスを受けてしまうような傾向にあります。
 以上のような性格の人が、ストレスの強い環境に長くいることで心身症が発生すると考えられています。

分 類

 くり返しますが、なんらかの身体の病気があって、その原因や経過に心理的な要素が深く関係している場合に心身症といわれる状態になります。したがって、以下の病名がすべて心身症であるということではありません。
 1.神経性皮膚炎・皮膚そう痒症[ひふそうようしょう]・アトピー性皮膚炎・円形脱毛症・多汗症・慢性じんましん・湿疹などの皮膚科的疾患
 2.筋けいれん(チック・書痙など)・緊張性頭痛・痙性斜頸などの疾患
 3.気管支ぜんそく・過呼吸症候群・しゃっくりなどの呼吸器系疾患
 4.発作性頻脈・高血圧・血管れん縮・神経性狭心症などの循環器疾患
 5.消化性潰瘍・慢性胃炎・潰瘍性大腸炎・過敏性大腸症候群などの消化器疾患
 6.摂食障害
 7.月経障害・排尿障害などの生殖泌尿器疾患
 8.甲状腺機能亢進症・糖尿病などの内分泌疾患
 9.めまい・失神・耳鳴りなどの機能性障害

治 療

 身体治療と並行して心理面を配慮した治療をおこないます。
 心理療法としては、言語による感情の表出をうながすような精神療法もよいのですが、もともと感情の表出が苦手な人が多いだけに、自律訓練法や行動療法などが有益です。行動療法のなかでよく用いられている方法としてバイオフィードバック法があります。これは、心拍数・筋電図・脳波などを連続的に記録しながら、筋肉の力を抜くなどのリラックス法をおこなう治療です。記録に好ましい変化があらわれたときの動作などを持続できるように訓練します。
 その他、種々のリラクゼーションも有効です。また不安・緊張・抑うつなどの症状が強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬を用いることもあります。

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