広場恐怖の出現
広場恐怖の出現
広場恐怖とは、パニック発作が起こることを恐れ、助けが求められない場所やすぐ逃げ出すことのできない場所にいることを非常に不快に感じたりまたはその様な場所を避ける状態をいいます。パニック発作を起こした患者の約4分の3は多かれ少なかれ広場恐怖を示します。具体的には、新幹線、航空機や地下鉄などの公共交通機関、トンネル、エレベ−タ−、橋などの狭い場所、倉庫や窓のない部屋といった閉鎖空間、美容院、歯科医、会議、行列に並ぶといった束縛された状態などがあり、高速道路、特に渋滞を恐れる人が目立ちます。また、自宅から遠く離れたり、家で一人で留守番できない人もよくみられます。
広場恐怖の対象は、発作をよく起こす場所はもちろん、もしこのような場面で発作が起きたら大変だと想像することによってどんどん広がります。ついには家から一歩も外にでられない人や、常に誰かを身近においておかないとおられない重症例があります。予期不安の症状の強さは次のような3段階に区別されています。
| 軽症:外出には多少不安を感じどうしても必要な所だけに行く | |
| 中等症:一人で外出できないことが多く、行動が制限されている | |
| 重症:ほぼ完全に家に縛られているか、付添いなしで外出できない |
広場恐怖の治療
広場恐怖の治療の基本はまずパニック発作を完全に消失させることです。小発作でも発作があるうちは広場恐怖がよくなることはまずありません。約半数の人は発作が消失するとともに自然に広場恐怖はなくなって行きます。広場恐怖に直接作用する薬はイミプラミンですが、効果の出方は目立ちません。広く一般には認められていませんが、著者自身はスルピリドという別のタイプの抗うつ薬が効果を持つと考えています。頑固な広場恐怖の治療は、行動療法が最も効果的です
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パニック発作
パニック発作
パニック発作の症状
| 心臓がドキドキする | |
| 汗をかく | |
| 身体や手足の震え | |
| 呼吸が早くなる、息苦しい | |
| 息が詰まる | |
| 胸の痛みまたは不快感 | |
| 吐き気、腹部のいやな感じ | |
| めまい、頭が軽くなる、ふらつき | |
| 非現実感、自分が自分でない感じ | |
| 常軌を逸する、狂うという心配 | |
| 死ぬのではないかと恐れる | |
| しびれやうずき感 | |
| 寒気または、ほてり |
上にあげた症状はいろいろな言葉で表現されます。
| 心悸亢進:「体全体がドキンドキンといっている」「心臓をギュ−と掴まれたようだ」「喉から心臓が飛び出しそうな感じ」 | |
| 呼吸困難:「空気が薄い感じ」「息の吸い方はき方がわからない」「喉がえずく(ウッウッと息を出すこと)」「閉じこめられてしまった感じ」 | |
| めまい:「頭から血が抜けていく感じ」「頭の血管がプツンした感じ」「頭を後ろに引っ張られるよう」 | |
| 腹部不快感:「胃をギュ−と掴まれて引っ張りあげられる」「おなかがフニュフニャして変な感じ」 | |
| 非現実感:「雲の上を歩いている」「頭に霞がかかっている」「ベ−ルをかぶっている」「自分が自分でない感じ」「自分をもう一人の自分が外からみている」 |
ここにあげた発作症状にともない常にある症状は激しい不安感です。この不安は、「どうしようも出来ない」「いても立ってもおられない」「身の置き所がない」「走り出したくなる」「大声で叫びたい」といったように表現されます。身体症状による二次的な不安もありますが、中心症状となる不安は、心の底からわき起こってくる不安そのものです。
パニック発作の出現の仕方
パニック発作はある一定の時間に限り激しい恐怖感や不安感とともに上にあげた症状が4つ以上ほぼ同時に突然出現し、10分以内にピ−クに達します。パニック発作はその激しさが最高潮に達した後は30分以内に症状が消え去ることが多いようです。しかし、一部の患者では半日以上も症状が持続することがあります。
パニック発作が始めて起きてから次の発作が起きるまでの時間は様々です。多くの人では、1週間以内に第2回目の発作が起きます。そして、発作は起き始めると次々に連発する事が多いようです。パニック発作の頻度は、著者の患者140名の統計研究では、発症時には週に3〜7回の人が最も多く、診察時には日に1回以上という人が最多になります。
パニック発作ではふつう4つ以上の症状が同時に出ます。著者の患者140名の統計では、発病時の発作症状数は6つであったという患者が最も多く、初診時には9つの発作症状を持つ人が最も多くなっています。中には症状数が1〜3だけの患者もいます。これは小発作といいます。小発作は、病気の程度の軽い人、不充分な治療を受けている人、激しい時期が過ぎた経過の長い患者でみられます。私のクリニックの最近の調査では、発作症状数が多い程重症で病気が長引く可能性が強いことがわかりました。
パニック障害にみられるパニック発作の特徴
パニック障害のパニック発作は誘因なく突然はじまるのが特徴です。過度の緊張のあまり上がってしまった状態とか、たいへん恐ろしい場面でパニック発作が出現することは納得できます。ところが、パニック障害のパニック発作はどうしてこんな所で発作が起こるのかと本人にも周囲の人にも全く理解できないのがこの病気の所以です。まさに青天の霹靂です。しかし、数は少ないですが、なかにはあるきまった一定の場所でしかパニック発作を起こさない人もいます。例えば、車を運転中だけとか、電車に乗ったときだけしか発作はおきません。しかし、このような人でも、自宅でくつろいでいる時に発作ほど激しくない症状で不意に気分が悪くなることがそれまでにあったということがしばしば聞かれます。
パニック発作では様々な身体症状が出現しますが、発作症状を説明できる臨床検査所見がみつかりません。心電図、心エコ−検査、心臓カテ−テル検査、胸部X線検査、脳波、CT,MRI画像検査、胃腸の透視検査、血液−尿検査などすべての検査で異常は認められません。ただし、心電図検査でときに僧坊弁虚脱症の診断を受けることはあります。
パニック発作の治療
始めに述べましたようにパニック発作はイミプラミンという三環系抗うつ薬が効きます。この薬は効果を発揮するのに時間がかかり、口渇、便秘、眠気などの副作用が出易いので、最近はアルプラゾラム、ロラレパム、クロナゼパムといったベンゾジアゼピン系抗不安薬がまず用いられることが多くなっています。これらの薬物療法とともに、認知・行動療法も発作を減ずる効果が明らかに認められます。
予期不安
パニック発作がひとたび起こるとそれは生命の危機をひしひしと感じさせるものであるので、発作に対する恐怖感は計り知れないほど強い。それは不意に突然起こることが多いので、またいつあの恐ろしい発作が起こるのではないかと常に心の底に不安感を持ち続けます。不安は対象が明かではない恐怖であると言われていますが、パニック障害の予期不安の内容をもう少し具体的に突き詰めて行きますと次のような恐怖であると考えられます。
| 発作症状そのもの | |
| 発作により病気になるのではないかと恐れる | |
| 発作により死んでしまうのではないかと思う | |
| 発作により気を失ってしまうのではないかと思う | |
| 発作により気が狂ってしまうのではないかと思う | |
| 発作により事故を起こすかも知れないと思う | |
| 発作を起こしても助けてくれる人がいないことを心配する | |
| 発作を起こした場所からすぐさま逃げ出せないことを恐れる | |
| 発作により人前で自分が取り乱してしまうことを恐れる | |
| 発作により人前で倒れたり吐いたり失禁したりすることを恐れる | |
| 発作を起こしてた人に迷惑をかけるのではないかと心配する |
パニック障害では必ず予期不安があります。この予期不安のためにリラックスした気分になれず、行動は知らぬ間に防衛的になり、行動空間が狭められていきます。パニック障害のより現実化行動化した状態が広場恐怖です。
予期不安の治療
イミプラミンは予期不安に直接効くことはありません。但し、この薬で発作が消失することにより時間とともに予期不安は軽快して行きます。予期不安に直接高かがあるのは前述したベンゾジアゼピン系抗不安薬です。もちろん、認知・行動療法も予期不安を現弱する重要な治療手段です。
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パニック障害
パニック障害
学校にどうしてもいけない---こんな不登校の背景には「不安の病気」が原因になっていることもあります。代表的な不安の病気、パニック障害の基礎知識を知っておきましょう。 構成・取材・文/山本勇希 イラスト/大前結子

どんな病気なの?
突然、激しい自律神経失調症状に襲われ、強い不安を感じる病気です
パニック障害は、理由もなく、「体全体がドキンドキンといっている」「息の吸い方、はき方がわからない」「フアフアとめまいがする」といった症状を伴う〈パニック発作〉が不意に突然起こり、激しい不安を感じる病気です。発作自体は数十分以内で収まるのですが、また発作が起きてしまうのではないかという予期不安にかられ、発作が起こった場所を避けたり、家から出られなくなるなど、やがて日常生活に支障をきたすことがあります。学生の場合、パニック発作や予期不安は、閉鎖空間である教室で起きることが多くあります。
なぜ起きるの?
ストレスが長く続くことが心身の負担になります
パニック障害は、他人にどう思われるかが気になって言いたいことが言えない、変な人間だとに思われたくないなど、周囲に過剰に合わせる人に起きやすい傾向があります。気を遣いすぎると、結果的に自分を押し殺すことになり、いつもストレスにさらされている状態になることが、パニック発作が起きる原因の一つです。ありのままの自分でいる練習が予防の意味でも大切。また、パニック発作が起きているときは、自律神経機能に異常が表れるために、心身のバランスが乱れ、さまざまな症状が見られます。

長引かせないためには?
早期発見、早期治療をして無理を重ねないことが原則!
パニック発作が起きると、びっくりして何をしたらよいのか分からなくなりますが、多くは十分〜数十分以内に収まるので、あわてずに冷静に対応することが大切です。発作中は前屈みかうつ伏せになり、静かに呼吸をしていると自然に腹式呼吸となり、気持ちが落ち着いて、心身が安定して症状が落ち着いてきます。パニック発作は、薬や精神療法(認知療法)で治療することができます。症状が収まったら、心療内科か精神科を受診して、再発を予防しましょう。

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前兆なく発症するパニック障害
前兆なく発症するパニック障害
どんな人でもパニックに陥ることはあります。予期せぬ衝撃的な事件に遭遇すれば、右往左往するでしょう。心臓がドキドキしてのどが渇き、息も荒くなります。けれどこれは本来、人間に備わっている正常な反応です。危機に対して全身を駆動しようと、神経や心臓の働きが一気に高まるのです。
ところが「パニック障害は、実際には何の問題も危険もないのに、突然、前述のようなパニック発作が起きるという心の病気です」と貝谷久宣先生はいいます。
代表的な症状は、心臓がドキドキする、息苦しくなる、めまいや震えなどが現われる、などです。そして「このまま死んでしまうのではないか」という強烈な死への恐怖が芽生え、救急車を呼ぶ入もいます。ところが病院に着くと症状は治まり、検査を受けても何の問題も見当たりません。
「これはパニック発作の典型的な症状です。パニック障害の診断基準を次にまとめてありますので、参考にしてください。このほか、下肢の脱力「つまり腰が抜けるという場合もあります」

パニック障害が起こるきっかけはありません。「あるとき、突然、起こるのです。仕事や私生活で何の問題もないという人にも起こるときには起こります」。
けれど、なりやすい体質というのはあります。「遺伝的傾向もある病気です。また、気が弱い人、人の顔色をうかがう傾向の強い人にも見られがちです」。
また、そういう人ほど「また発作が起こるのではないか」と不安になる傾向が強く(予期不安)、「不安が不安を呼んで、発作が起こりやすくなってしまうのです。発作を恐れて1人で外出できなくなるのも(広場恐怖)、パニック障害の特徴です」。
アメリカでは100人に3〜4人が罹患しているといわれている病気ですが、「私たちの調査では.3年前で女性は100人に6〜7人がパニック障害でした。女性は本来、不安を抱えやすいという傾向があるせいか、女性のほうが多かったですね」。
最近の研究で、パニック障害の人たちは脳の一部、前頭葉の血流がよくないということがわかってきています。「前頭葉は、ものを考え、人とコミュニケーションを取り、我慢するなど自分をコントロールするという役割があります。ここの血流がよくないと、その働きが悪くなり、パニック発作が起こるのではないかと考えられているのです」と先生。
心当たりがあるという人は、精神科や心療内科などを受診しましょう。「実際には、さまざまな症状があるだけに内科などほかの科で検査を受け、その科では『何も問題がない』と精神科に回ってくる人も少なくありません」。
病院では問診を中心とした診断を受けたあと、治療となります。
まずは薬物療法です。「抗不安薬や、SSIという抗うつ剤などを処方し、不安になる気持ちを抑えるようにします」。
それと並行して認知行動療法を行なう場合もあります。「カウンセラーが物の受け取り方、感じ方を一つずつ分析し、固まった考え方を治していくのです」。
また、たとえば電車の中でパニック発作を起こした人は、そのあと発作になるのが怖くて電車に乗れなくなりますが、「まずは改札口までその人の手を握りながら一緒に行く、次はホームまで……と
少しずつ慣らしていく暴露療法(エキスポージャー)や、ふだんから日記を書くことなどを通して意識を変えていくのです」。
このほか、「最近、座禅を行なって呼吸を整えることが自立神経を整え、前頭葉の血流を促してその働きをアップさせるという報告がありました。そこで、私たちは座禅を治療の一つとして取り人れています」。
おおまかなやリ方は次に紹介しているので、試してみるのもいいかもしれません。「いずれにせよ病気を上手にコントロールして、うまくつきあっていきましょう」。

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